仕様
素材:亜鉛合金+クロームメッキ サイズ:81x41x25mm 78g 2ピース
今回はメルクールのスラント両刃カミソリ、37Cを試用してみたいと思います。 発売年ですが、調べてみてもはっきりしなかったのですが、2014年にうにぞうが両刃カミソリを始めた頃には33C、34C、プログレスと共に既にラインナップにありました。プログレスは30年以上前から発売されていましたので、同じくらいの製品歴なのかもしれません。いずれにせよスラントの代名詞としても有名なモデルです。
野菜を包丁で切る時、水平に切るより斜めに刃を入れたほうがよく切れます。シェービングにもこの理屈を持ち込んでヒゲに対して斜めに刃が当たるように両刃カミソリのヘッドに斜めに取り付けできるようになっているのがスラント両刃カミソリです。下の写真のようにヘッドが僅かに傾斜しています
ヘッド以外のハンドル部などはメルクール34Cとよく似ています。ヘッドの取り付けも2ピース構造でこれもまた34C同じです。重量も78gと同じです。
全長は81mm、最近の両刃カミソリにしては短い部類です。しかし両刃カミソリ屈指の加工品質、メッキの品質は現在でもトップクラスで道具としてのクオリティを追求しているデザインです。
レビュー
攻撃性:★★★☆☆☆
効率: ★★★★★☆
安全性:★★★★☆☆
・初回
さて早速試し剃りしてみます。替刃はASTRA superio stainless(青箱)です。青は有名なsuperior platinum(緑箱)よりも攻撃性が高く、個人的にはVOSKHODに近いと考えています。ロシア情勢の影響でVOSKHODが手に入りにくいので最近はコレをよく使っています。
さて剃ってみました。第一印象は思ったよりも優しく感じました。
もちろん横滑りさせたり、逆反りを多用するなど、セオリーに反した剃り方をすればこの限りではないですが、まともに剃ってみた印象はメルクール34cに感触が似ています。 前回Parker55LSというスラントを試しましたが、それよりもずっと攻撃性は低いです。55SLがアグレッシブ寄りの攻撃性に対し、37Cはミディアムな肌当たりです。
そうは言ってもさすがスラント、あっさり目で3パスシェービングしましたが容易にBBSな剃りが得られました。
効率性は34Cよりかなり上だと感じます。
他に気がついた点は、ハンドルがパーカーよりも短いので取り回しがし良いです。反面、自重で剃る剃り方を適用するにはロングハンドルのほうが容易なので、その点は慣れが必要だと思います。
泡の切れに関してはセーフティバーと刃の隙間が十分に取られているので問題なしです。剃り角も把握が簡単で特にこれといったクセは感じられませんでした。教科書通りに剃ればそのままBBSが容易に得られたという印象です。
・2回目
初回はやや切れ味が鋭いとされる替刃を試用しましたが2回目はいわゆるダル刃、まろやか系の替刃を使用するとどうなるのかやってみます。
TreetDURA SHARPで試用しました。この替刃は炭素鋼にクロームコーティングがされており、アグレッシブ系の両刃カミソリだと独特なまろやかさがある替刃です。反面錆びやすかったり、あっという間に寿命が来る、ミディアム以下の攻撃性だとさっぱり剃れない等、クセがありまくりなイロモノ替刃なのですが、ゆるっとなめらかに剃れるので、アグレッシブ系ではなかなか味がある替刃です。今回はこれを使ってみます。
結果は剃れはしましたが良好とは言えませんでした。 パーカー55SLだと目が覚めるような剃れが味わえたのですが、37Cだと剃り残しがあり、それをフォローしてストロークを増やしたのですが、シェービング後肌がヒリヒリしました。 これはメルクール34Cで剃ったときの現象とよく似ています。ここから考えられることは、34Cの攻撃性をそのままにスラントにしたモデルが37Cなのではないかと思いました。
そう考えると肌当たりが34C似なのも納得ですし、剃れ味がダルなままだったのも納得できます。
・3回目 ASTRA緑で剃ってみました。
ASTRA青箱よりも多少逆剃りのストロークが増えましたが上手く剃れました。
ノーマルヘッドの両刃カミソリで剃るよりも、緑箱の良さがはっきり感じられました。自分のヒゲの場合、緑箱だとたまに途中で引っかかる場合もありましたが37Cの場合はありませんでした。肌への攻撃性は青箱よりも更に優しく、スラントで剃るなら緑箱でも十分だと感じました。37Cで緑箱はかなり相性の良い組み合わせのようです。
初めてスラントを持つなら、37Cかもしくはロングハンドルバージョンの39Cが最適ではないかと感じました。
37Cはスラントのいいとこ取りな性格じゃないかと思います。Parker55SLはやや攻撃性が強い傾向です。それが好みであれば問題ありませんが、毎日使うなら肌への負担の少ない37Cがいいかなと思います。37Cは過激さはありませんがスラントの便利さはしっかり発揮されています。34Cの剃り味が好きで更に効率が高いモデルが欲しいなら37C、もっとゴリゴリ剃れて、多少刺激がほしい方にはパーカーがいいなって印象です。
まとめ
個人的には非常に気に入ってます。ハンドルが短いしミディアムなのにしっかり効率が高い、更に肌への刺激も最低限に抑えられている37Cは理想に近いです。とは言え、刺激がほしい場合もあるのでパーカーを全く使わないかと言われれば多分使ってると思います。 スラントというのは替刃の違いを確認しやすいですね。
ブレードギャップと刃の吐出量が34Cと同じくらいな為、本当にダル刃の場合は剃れなくなってしまいますが、守備範囲は広いんじゃないかと思います。替刃を色々試してみるのも楽しいと思います。
また、ヒゲは太いが肌が弱い方がスラントに挑戦する場合もこれならなんとかなると思われます。簡単に言うと34Cのヘッドを傾けながら剃っている状態とそんなに変わりません。実際テクニックとしてそういう剃り方もあるのですが、傾け角が安定しないし専用品のほうがずっと安全なのでそこまでするならスラントのほうが安全だと思います。
Merkur37CとParker55SL、どっちを買うか?ですが肌が弱い場合は37Cがいいと思います。 その心配が無いなら両方とも買ってもいいぐらいです。順序で言うと37Cが穏やかな傾向なので37Cが先でもいいですし、ガツンと豪快に剃りたいならパーカーがはっきり感じられるでしょう。 どちらを買っても損しないので太いヒゲの方はぜひ1本使ってみてください。
私は55SLとNACETの組み合わせが最もお気に入りです。39C(37Cのロングハンドル)は肌が荒れ気味な時にシムを二枚かませてマイルドに剃る用で使用します。世間では39Cが深剃りだとか言われることがあり「自分のホルダーだけ欠陥品なのだろうか。でもFATIPのスラントも自分にはマイルドだし訳が分からない。」と疑心暗鬼になっていましたが、この記事を見て大変参考になり安心しました。ネットに出回っているRAZOROCKの比較表みたいなやつを見るとも39Cが55SLよりアグレッシブとなっているので、その影響なのかと思いました。
非常に参考になりました。最初は55slにほぼ決めていたのですが本記事を読んだらまた迷いが出てしまいました。以前34cを持っていたのですが顎と鼻下のヒゲが硬すぎてあまりきれいにそれず手放してしまいました。もし、うにぞうさんが生涯で一本だけと言われたら55slと37cのどちらになりますでしょうか?