理屈でいうとスラントタイプの両刃カミソリヘッドは切れ味が向上する筈です。 スラントとは替刃がヒゲに対して斜めにカットできるように刃の位置が調整さているカミソリです。
例えば野菜に包丁をいれる時、包丁を斜めにして切ったほうが上手く切れます。 ヒゲも同じように刃を傾けてカットすると切れ味が上がるという考え方です。 ではマイルドな替刃をスラントで使用した時、切れ味はどうなるのでしょうか? そんな疑問をPARKER 55SLで確認してみようと思います。
今回は KOJACK RAZORさんにて購入4,780円、PARKER製品がかなり安く購入出来る上発送も早いので海外通販に頼らなくていいのが助かります。
重量は96g、全長約10cm、バランスはヘッドに寄ってます。 材質は真鍮にサテンクロームが電気メッキされています。
加工精度は上の写真のような感じです。ヘッドキャップ・ネジの加工もそこそこキレイな感じです。ハンドルはグラファイトが巻かれた上のローレットが刻まれていますので滑り落ちるリスクは最低限です。このタイプはグラファイトモデルですが、ピュアなサテンクロームのモデルもあり、同じくローレットが刻まれていますのでホールド性は問題ないかと思います。 ヘッドキャップに替刃を固定するためのポッチがありますが、替刃とのクリアランスはタイトで、厳密に替刃位置が固定されます。替刃の装着角度がズレることは心配なさそうです。
ヘッドキャップ、ベースプレートが斜めにひねりが加えられているヘッド部 替刃装着状態の写真です。傾斜がかかっています。
ヘッド部を横から見た写真。替刃をキツく締め付け、替刃をひねっています。ヘッド部が替刃全体を収納していますので替刃の両端が飛び出さないヘッドタイプです。
レビュー
【アストラ青でシェービング】
さて試用してみます。最初はGillette ASTRA SUPERIOR STAINLESS(アストラ青)を使用しました。 この替刃はVOSKHODと似たような切れ味です。フッ素コーティングされていませんので滑らかさでは若干劣りますが、切れ味はアストラ緑より上です。うにぞうはヒゲが太いので最近はアストラ緑よりも青を使用する機会が増えました。
確かにワンストロークでかなり剃れます。刃が傾斜しているせいか、ヒゲに引っかかることが無いです。体感できる切れ味の感触はノーマルヘッドのフェザーハイステンレスよりも切れる印象を受けます。
刃の当たる感触はミディアムヘッドより少し刃の感触がありますが、危険を感じるレベルでは無いです。ヘッドを横滑りさせると危険だと思いますが、まっすぐに剃っている限りは普通に剃れると思います。
自重に任せてヘッドをスライドさせると簡単に刈り取ってくれる感じです。
そのまま深追いせずに3パスすれば、ほぼ完璧にBBSできました。1パスめに多少剃り残していても、ほとんど2パスで終了します。3パス目は軽く剃り残しだけフォローしてあげると完璧なBBSとなりました。
肌への刺激ですが、多少ヒリヒリを感じました。
これは自分がこのモデルに不慣れな部分があり、多少ストロークを多めに剃ってしまったのが原因な気がします。
もっと『サッと剃る』感覚で良かったと思います。1パス目で剃れ残っててもこだわらず、2パス目に移行しても大丈夫でした。ここで多少深追いしたのがヒリヒリの原因だと思います。そこを守れば上手くいくと思いました。
ASTRA青は緑と同じ価格で入手できますが、この替刃でここまで剃れるのならフェザーは不要だと言う印象を持ちました。替刃の節約には良いですね。
【Sharkでシェービング】 Sharkって聞いただけで条件反射的にゴリゴリ剃ってしまううにぞうでしたが、不要でした。というかまたしてもやりすぎてヒリヒリしてしまいました。「替刃のブランドは誤差でしかない」という感じでガンガン剃れました。
正直、「これって本当にShark?」ってくらい切れました。本当に撫でるだけで剃れていけますね。今回も余計にストロークしちゃいましたが、慣れてくると本当に剃れる両刃カミソリだと思います。
逆に言えば「慣れが必要」となるのかと思います。でもこの価格帯でここまでの効率性はかなりのものです。太いヒゲのユーザーが剃れ味に不満がある場合にオススメする1本って感じです。
一方、肌の弱い方、ヒゲが細い方にな不要なスペックだと思います。最小ストロークで剃らないと肌への負担が高いので向かないと思います。スラントではなく、攻撃性が高めなノーマルヘッド両刃カミソリから選んだほうが良い気がします。
とりあえずこの様子だと安い替刃でもガンガン剃れるということが確認できました。これはヒゲが太いゆえに高価格帯の替刃を選びがちなヘビーユーザーには嬉しい利点じゃないかと思います。
【Treet DURA SHARPでシェービング】
この替刃は炭素鋼にプラチナコーティングされた替刃です。滑らかさがあって剃り味は気持ちいいのですが、炭素鋼ゆえに寿命が極端に短いです。2回使用できれば良い方です。おまけに錆びやすいし、結構こまったちゃんな替刃なのですが剃り味がクセになります。
この替刃、55SLでは相性が良いようです。
炭素鋼の滑らかさを維持しつつ剃り味が落ちても諸共しないホルダーの性質がマッチして急激に劣化する剃れ味をカバーしてます。もちろんBBSできました。 扱いが難しい炭素鋼でもこのホルダーだと良さがブーストされるのは嬉しい発見でした。
総評
「セミスラント」となってますが、太いヒゲを所有する同士の方でも、実用上この両刃カミソリで十分役割を果たせると思います。ヒゲの引っかかる減少が殆どないのがスラントの特徴なのか、終始スムーズにシェービングできます。自分がコレクターでもなければ、この1本で十分満足したと思います。
この価格帯では効率性は群を抜いて、安い替刃でも許容してくれる経済性も満足です。切れ味の弱い替刃でも十分実用性があるレベルまでアシストしてくれて、替刃の特性を楽しめるところがこのカミソリの楽しさだと思います。
一方、ストローク数に神経を使う部分があります。ストロークが多すぎるとヒリヒリしてしまいます。同じ理由で肌の弱い方には向いてないですし、ヒゲの細い方にはオーバースペックだと思います。
あともうひとつ、押し付けると途端に肌に来ますので自重だけでサラッと剃るイメージでシェービングしてください。そういった理由で押し付けるクセが抜けていない段階でこのモデルを使うと大惨事になるでしょう。エントリーモデルとしては不適だと思います。自重でシェービングする基本が身についてから使用してください。
早速ありがとうございます。うにぞうさんのレビューを待ってパーカーかメルクールのスラントのどちらにするか決めたいと思いますのでレビューの方楽しみにしております
非常に参考になりました。今回の両刃カミソリはうにぞうさんが持っているホルダーの中で一番効率がいいでしょうか?ロックウェル6cと比べてBBS達成はどちらの方がしやすいでしょうか?